2012年8月28日火曜日

2013 S-Works Stumpjumper Carbon 29 XTR

MTBのホイール径が26インチから29インチへと、主流がどんどん移り変わっています。
29インチ、タイヤの大径化がもたらすメリットは数多くあります。

しかし、デメリットも併せもつ、という理解をしているかと思います。

TKインプレッション

こちらに詳しく書いてありますが、このデメリットを打ち消せれば、残るのはメリットだけです。

それを達成しているのがこの、 S-Works Stumpjumper Carbon 29 XTR なのです。



このSワークスと同じ系譜であります、スタンプジャンパーHT29エキスパートを
1年間様々なレース、イベント、トレイルなどで乗り込みましたが、
同じ様な特性を示していて、エキスパートモデルはとても良い完成度です。


しかし、Sワークスはコストを度外視して、究極を目指しているので、
やはり性能に明確な差があります。

それは圧倒的な”軽さ”です。


©Yasuhiro Nakajima

2012 XTERRAジャパンチャンピオンシップにて、実戦で使用したインプレです。

”軽さ”といっても、様々な軽さがあります。

持って軽いという、バイク重量、
走って軽いという、加速の軽さ、
ハンドリングの軽さ、軽快なコントロール性、

これらがレースバイクに求められる”軽さ”になります。

重量は言わずもがな、持てば誰でもわかるほどの絶対的に軽いです。

29インチ=車輪が大きい=重い、という図式が成り立ちますが、
このSワークスはホイール周りが圧倒的に軽いのです。


カーボンリムを使った、ROVAL CONTROL SL 29、これが強烈な性能を発揮しています!



数多くの29ホイールをテストライドする機会に恵まれていますが、
この軽さを凌ぐモデルは存在しませんでした。

ホイールに合わせるタイヤも重量で、ファストトラックというノブを配しながらも

重さを抑えているタイヤ、この組み合わせがまるでロードバイクのような軽さを
もたらしてくれます。


もちろんフレーム、ブレインフェイドを装備したフロントフォーク、それに合わせるコンポも
軽量なアッセンブルになっています。


その結果、XTERRAで多くある押しや担ぎも、ひょいひょいと容易に行え、
写真のように、肩を出したレースウエアでも、サドルを肩に引っ掛けても、
軽いから痛くもないのです。

トランジッションは当然楽です。



©Yasuhiro Nakajima

バイクを押してから飛び乗り、バイク上でシューズをしっかりと合わせてから加速をしていく、
この状況でも、29インチならばホイール自体が高い直進安定を持っていますから、
ふらつくことなく安心してまっすぐ走れます。

そしてそこからの加速は軽く、速いです!
ホイール&タイヤの軽さがものすごく活きてくる瞬間です。



ホイールとタイヤの軽さもさることながら、合わせて強さ、剛性も大事な要素です。

加速ではペダリングで瞬間的に大きな力がかかりますので、ホイールはもとより
フレームも剛性が問われます。
ダウンチューブ、BBと共に、シートステーがしっかりとたわまないことが大事です。

29インチでは、ホイールが大きい分、シートステーが長くなりがちです。
ここが長いとたわみやすく、加速性が落ちてしまいます。

そのためチェーンステーは極めて短く、そして強く作られているのです。

それを含めてスタンプジャンパーは、フレームのディメンションが高い完成度で、
26インチと同じ走りが得られます。

加速が軽く行えたら、素早く巡航速度に乗って行けますので、そうなったら29インチの
メリットがとてつもなく活きてくるのです。


©Yasuhiro Nakajima

この時、トランジッションでのタイム短縮も狙っていますが、グローブをはめていませんでした。
転倒の時のダメージが大きくなるので、基本的にはグローブをするのですが、
余りにもこのSワークスが安定した走りであり、ハンドリングが軽く、
意のままに軽快にコントロール出来たために転倒はしないだろうと、
グローブをしなかったのです。

29インチだと、ホイールがまっすぐ進もうとしますので、コーナリングや左右への切り返しなど、
バイクコントロールが鈍くなります。
また、ホイールベースの長いバイクだとそのデメリットが増大しがちです。

このコントロール性も、ホイールの軽さと強さ、そして、29ならではの地面い吸い付くような
タイヤのグリップ、そしてそれを増大させるブレインフェイド搭載のサスペンションのおかげで
タイトなシングルトラックが、メインのコースでもクイクイ曲がり、しかも切れ込み過ぎることもなく、
狙ったラインをスパスパと通過させられました。



ハンドリングで大事なのは、加速性でもそうですが、フレームの強さです。
フロント周りの荷重をしっかりと受け応えるヘッドとダウンチューブが求められます。

ターマックのようなつくりをしていますが、まさしく走りもオフロードのターマックのような印象で、
高いスピードに瞬時に乗って、それをスキルに応じて瞬時にコントロールすることが出来ました。

29を扱いやすく乗りこなせる、これはSPECIALIZEDの29ラインナップ全てに共通しますが、
速く走らせられれば走らせられるほど、バイクのコントロールが上手ければ上手いほど、
その性能を発揮させ、メリットが引き出されて速くゴールできるのが、Sワークスなのです。


©Yasuhiro Nakajima


軽さと強さを併せ持っても、路面の振動をいなして、身体へのストレスを増やさないというのは
ライダーのパフォーマンスを最大化するSPECIALIZEDの大事なポイントですので、
Sワークスでも高いレベルでバランスさせています。

今年はIRONMANチャレンジに比重をとっていてMTBはあまり乗れていないので、
バイクパートでタイムを大幅に短縮できたのは、このSワークスの性能が大きくものを
言ったのかなと正直思います。

MTBにあまり乗れていないうえに、タイトなでテクニカルなコースに臨む上で、
普段常用しているLサイズからMサイズにサイズダウンして乗ったことも、効果的でした。

29インチの性能を享受するには、徹底的にコンパクト、素早さ、重さ、にこだわるべきだと
改めて確認しました。

個人的なアドバイスとしては、29でレースやトレイルのためにコントロール性を
優先させるならば、乗れる小さいサイズを選ぶこと。
ツーリングやファンライドで安定感を求めるならば大きめもありかな、ということ。

是非参考にしてみてください。






2012年8月19日日曜日

S-WORKS TRIVENT

昨年のUSA展示会でこれは!と目に留まりとても気になっていたSPECIALIZEDでの最高峰トライアスロンシューズ、”Sワークス トライヴェント”が日本でも2012年7月デビューしています。


 メンズトライアスロンシューズ  > S-WORKS TRIVENT 


従来のトライヴェント エキスパートを履いてきたうえでの、インプレになります。 

このエキスパート自体も、人気のBGロードシューズと同様のボデイジオメトリー技術が使われていますので、しっかりと足裏アライメントに沿ったサポートを果たしてくれて、ペダリングには何ら違和感なく、しっかりと高いパワーを長時間伝達してくれます。
自分ではIRONMAN70.3ではアベレージ40km/hの走りから、IRONMANでの5時間超のライドでも、
脚の負担とトラブルなく走りきっている信頼のおけるシューズです。

ただし、通常のロードバイクライドではSワークスロードを履いているので、そのフィット感には
及ばないことは感じていました。
それでも、トライアスロン特有のニーズ、履き脱ぎのしやすさ、濡れた足で履くことの通気性の良さ、などを確保しなければならないのですから、それも致し方無いとも思っていました。

このSワークス トライヴェントを履くまでは。



パッケージから覗くそのアッパーは光沢があり赤く輝いていて、とてもレーシーです。
履くだけでテンションが上ります。

実際に足を入れてみると、スリッパのようにすっと簡単に入り、その後、BOAダイアルでしめていくと、踵と連動して、甲の上部が一緒に均一にしまり、まるでテーピングでヒールロックをしたかのような安定感があります。

ペダリングしてみると、その安定感がはっきりと動きの安定につながり、よほどラフなペダリングでない限り、極めてカッチリとした感触が得られます。
それには、ソールがSワークスロード2012と同一であることも貢献しています。
シューズにはベロがないので、その部分のホールド性はないように感じますが、トライアスロンだからスイムで足がふやけることを恐れずにジャストサイズを選び、ベロクロストラップで事前にしっかりと足幅にあわせておけば、トライアスロンレースで起こるようなダンシングではまず問題のない十分なフィットが得られます
(ロードレースのようなゴールスプリントをするとブレを感じるかもしれませんが、トライアスロンでは起こりえませんからね)。

裸足で履くことが前提ですから、肌に対しても考慮されていて、足首周り、踵、甲に接する部分にはソフトパッドを配して、表面保護と当たりを防ぎながらも、密着性を高めることでホールド性も高めています。

甲から前足部にかけてはメッシュで作られていて、暑さ対策とともに、水の抜けと乾きを最大限に引き出しています。

ペダリングで多少不安定感がある場合は、足裏にあったフットベッドをあわせて使えば、パワフルなペダリングでもブレずにしっかりとパワーが伝達できることでしょう。


そして、このペダリングのしやすさに加えて、最大の特徴となるのはそのトランジッションでの、履き脱ぎのしやすさです。



BOAとシューレースでのフィットはこのようにとても大きな開口部を実現して、トランジッションで一発で足入れを出来るようになっています!



ペダルにシューズをはめてゴムで位置決めしておき、乗り出しの一歩目からスッと足を入れて漕ぎ出せます。

シューズの上に足を載せ漕ぎ出し、不安定なまま足を入れなおして、ベロクロやバックルを締めるというのは、よほどバイクのコントロールに自信がなければ、転倒の危険性が高いので誰にでもオススメできるものではありません。

しかし、このシューズで事前に練習をしておけば、多くの方が安全に、そのうえ素早くトランジッションを出来るようになれるはずです。




自分も実際に何回も練習で履いていますが、痛みもなく、ペダリングフィールもとてもいいですし、ソフトでとても良い履き心地です。

KONAで実戦投入が楽しみです。



バイクでのタイムアップを狙う、バイクのペダリングにこだわりのあるアスリートならば選んでもらっても絶対に損はさせませんよ!

2012年8月、今ならば下記よりモニターキャンペーンもありますんので、是非エントリーしてみて下さい。


http://specialized.blueoceans.jp/try-trivent.html