2015年9月17日木曜日

S-WORKS 6 Road Shoe


"S-WORKS 6" Newロードシューズを1,000km超履きこんでみてのインプレッションです。
詳しいことは、こちらWEBカタログを参照頂いて、自分の足における感想をば。




まず靴下履かずに素足で履いてみました。
トライスロンをやっていることもあり、素足での感触を確かめることも恒例になりつつあり、フィット感が確かめやすいです。
もちろん、ロードでの使用では薄手のソックスを着用します。


まず履いた感触は、踵骨のビシっとした安定感と中足部へのピシっとフィット感、それとは真逆に前足部の骨が緩んでふんわりとしたゆとり空間が、異質なくらい極めて特徴的です!!

人気持続中の歴代S-WORKSシューズはどんどんピッタリフィットの方向に進化してきましたが、全体が包まれるような均一なフィット感が特徴でしたので、その面では変化を大きく感じます。


各部を見ていきますと、前足部の高さ方向のゆとりアップにより、指周りの快適性が大幅向上しています。
自分はランニングを始めてから若干足型が変わってきた感じで、特に小指外側の骨が高くなってきていて、そこが長時間ロードシューズを履いているとアタリを感じて時にはしびれに繋がることもありましたが、”6”ではその感じがなくなりました。




ラウンドしたまるっこいつま先部も各指先のアタリもなく、親指内側の骨へのアタリも余裕がありあす。
前足部のアジャスターストラップを調整すれば、適度なサイズ感に調整できます。
ちなみに自分はこのベロクロストラップは毎度毎度脱着しないで、自分の足に対する初期設定だと思っていまして、サイズ感を調整したらここはいじらずに、BOAを緩めて脱ぎ履きをしています。 
とはいえ、この前足部のいい意味でのゆるさはペダリングでの足のアソビに繋がるのではないか?と疑問が残る程のリラックスさ、です。


しかし、ペダリングにおいては従来のボディジオメトリーのソールとともに、踵ビシッ!中足部ピシッ!な極めて高いフィット、ホールド性で足のズレやロス感は皆無!!!

この膝がペダルを押す力を、すねの骨に伝えて、それがそのまま踵のずれや足の変形、たわみなく、足裏全体でソール&ペダルを押して伝わる感触は特筆モノですね!!

中足部のアッパーを抑える素材とBOAのコンビネーションと、ヒールの安定性はテーピングでガッチリ固めたかのような印象を与えてきて、実際、レースなどハイパワーなときには踵にしていたテーピングと同等以上の効果を感じます。



踵のヒールカップの強化も効果的なのでしょうが、履き口周りのアキレス腱~くるぶし下にかけてのパッドもかなり効果を発揮して、抜群のフィット感です。
自分は外側のくるぶしが低いのでアタリを気にしていましたが、かなり激坂ヒルクライムでも、長時間乗っても大丈夫でした!



タンもしっかりして甲からカッチリと中足部が包み込まれるのもペダリングに好印象ですね。
ただし、しっかりBOAをしめていても横方向にズレてしまいますが、不快な感じはしないので、自分の甲にあった向きになったと思えば問題無いでしょう。



ただしそのフィット性の高さゆえのいくつか気になるところがありまして、ご注意頂ければ。
履き口がタイトなのでBOAをしっかりと全開に緩めて、脱ぎ履きしてみてください。
またフィットが気持ちいいからと、BOAを締め込みすぎると、たしかにホールドが高まり、パワーが高い時は必要ではありますが、甲が高い人はBOAのベースに若干のアタリが出るかもしれませんから、締め込み過ぎ注意です。
あと、ここ、大事なのですが、踵~中足部のホールドが高まりましたので、クリートの向きの調整が重要になります。
従来だと踵~中足のたわみで適度な逃げがあり、クリートの向き=足の向き、はある程度ファジーでも良かったのですが、”6”はそのメリットである高いホールドもあり向きがあってない場合、ペダリング中に足が自然な向きになりたいと動いているので、くるぶし下まわりと前足部の骨周りにストレスが集中する可能性があります。
実際、自分はつま先部からフロートするLOOKペダルを使っていますが、小指外側とくるぶし下内側にストレスを感じましたが、わずかにクリートの向きを調整したら、すっきり解消で全く問題なくなりました!
フィッティングが重要であることを再認識しましたし、合わせに自身の持てない人はフロートが中心で大きく取れる、シマノかスピードプレイを用いるのが無難かと思います。


他、細かなことですが、ヒールラグの改良で歩きやすくなっていて、また一体化しているので、耐久性もアップしていますので、これは地味に嬉しいところですね~
さらにエアロ効果も高まっているそうです、体感できませんが(苦笑

あとは仕上げの美しさ!
なので、これで砂利道歩くことは、どうか避けてくださいませ。。。



ゆとりとフィット、硬さとしなやかさの部分毎のバランスがとれて高いホールド性と快適性を実現!


安定感の向上が体感出来て、結果的にペダリングフィールが気持よく!!

スプリントなどでのハイパワーなロードレースはもちろん、軽量なのでヒルクライム、快適性でセンチュリーライドなどロングもこなせますので、あらゆる人に勧められます。

鮮やかな朱赤、安定の白、シックな黒とカラーバリエーション、ハーフとワイドのサイズ展開と、必ず足に合うものがあると思いますので、まずは足を入れてみてくださいね!!





2015年9月16日水曜日

S-WROKS VENGE ViAS

2016 S-WROKS VENGE ViAS を2,000km乗ったインプレッションになります!


正直に書きますと、最初に受け取り軽く2,30kmを乗った時には、うむ、表現の難しいバイクだな、と思いました。
エアロ効果は目に見えないし、スピードを出さないと体感できないこともあり、また決してこのViASは軽量で、ゼロ発進~低速の速いバイクではありませんから、ちょろっと乗っただけではなんともいえなかったのが実際です。

しかし!
乗り始めて数日、本格的なロケーションで思うがままにバイクを走らせると、非常に強い人車一体の爽快感を満喫!!

こう操りたい、次はああ走りたい、という衝動に駆られる、”エアロ”という枕詞を付けなくても、ロードバイクの極道ではないかと思わせてくれます。

もちろん空力性能も高く、下りと高速域でにおいて、頭の位置の僅かな違いにもリニアにスピードの高まりへと反応する様は、もはや抵抗は自分自身のみ体の前面投影面積のみだと認めざるを得ないもの。



そして下りのステアリングの正確性が、操る悦び、ものすごい楽しさを感じさせてくれます!
エアロ効果もさることながら、カッチリとしたフロント周りはコーナーで、タイヤのヨレとバーテープの柔らかさが明確に感じられる以外、リム、スポーク、ハブ、フォーク、ヘッド、ステム、ハンドルと一定と感じ、あとは路面からのインフォが分かりやすく、グリップの限界と挙動が扱いやすくなり、コーナーリングものすごく楽しめる!!



そして速度の上昇がとてもスムーズ、25kmから40kmへと加速する早さと、40kmでの巡航の軽さは特筆モノです!!
低速では確かに重さと路面からの鈍い衝撃を感じるものの、それは15km/hまでの話しであり、それ以上の速度域では、極めてスムーズ。これはホイール ROVAL CLX64の性能が寄与している割合が高いです。
ViASの開発ストーリーは、高性能ホイールCLX64の完成によって、このホイールと一体化した高性能バイクを目指すことから始まったそうです。



CLX64を乗り慣れたSHIVに装着したところ、こちらも別物バイクくらいに走りが良くなりました。
40km維持のイージーさは、テスト結果にもある通りディスクホイール同等以上であることが実感できます。
また、横風に振られる度合いも少なくなり、鋭い振られは皆無であり、横風をマイルドに感じるようになり、風の良い日も安心して乗れます。

ハブとフォークの接合面積の拡大も剛性、一体感アップに貢献しています。
ちなみにスポークは扁平エアロスポーク、ニップルは露出していますが、それはエアロ効果には影響ないとのことです。

自社の空洞実験室で数千時間という膨大な時間の研究を蓄積している結果と、レンタルで実験している見識の違いが、エアロな機材と、エアロなイメージの機材と、明暗を分けていくことでしょうね。



ペダリングパワーに対する高い剛性、路面を捉えるトラクション、そしてViASの真骨頂であるエアドラッグ、全てに卓越した性能をもっているからこそ、全てを操るべく乗りたくなってしまうバイクなのです!!

ガッチリ、しっかりとしたコントロール性であり、路面から伝わるものをフレームで吸収している感じはしないのですが、極太のリムとそこに合わせるタイヤ、さらにその低圧にセットできるメリットから、乗り心地は200km以上も余裕でこなせる許容範囲です。
路面の割れや続くような場合は、そりゃルーベが最高ですが、この走りとのバランスとしては悪くありません。


細部を見ていくと、特徴的なのはブレーキとハンドル周りですね。




フォークと一体となったブレーキはただの制動部品としてだけでなく、空力向上のためのエアロフィンの役割も兼務しています!
UCIルールでは、ダウンチューブは3:1の比率以内に太さを収める必要があります。厳密に決められているということは、それだけ効果が高いと言えるでしょう。
それをこの流麗な一体型ブレーキを用いることで、フォーク&フレームが一体化し、空気の流れを他にはないレベルで整えて、抵抗を減らしています。


肝心の制動部品としての性能ももちろん問題なし!
一般的なキャリパーブレーキとは制動力の立ち上がりとタッチは異なるものの、効き自体はコントローラブルです。
この辺は、MTBで、Uブレーキ、カンチブレーキ、Vブレーキ、ディスクブレーキと経験豊富なこともあり、対応が直ぐ様出来ましたが、ロードキャリパーしか触ったことない場合は、慣れるまでは違和感を感じてしまうかもしれません。

この大きなレバーでギュッと効かせるので、絶対的なストッピングパワーは十分ですね。
ただし、ワイヤーのたわみ、そしてインナールーティングなので、セッティング命とも言えます。信頼おけるメカニックに組んでもらうことは必須だとは言えます。


リアも同様で、ここに位置させることで、ペダリングの乱流を低下させて、前面投影面積以外に後ろに引っ張られるようなドラッグを減らしてくれています。

ステムとハンドル周りも一体設計です。
ここは前面投影面積の低減に、効果を発揮しています。
ステムはほぼ水平、16度が一番効果が高いので、なるべく低くして、かわりにハンドルをアップライズにしてポジションを出すのが特徴的です。


ハンドルは上面フラットで手を置きやすく、攻撃的なルックスと違ってリラックスして乗りやすいです。
リーチは僅かに長め、ドロップも低い姿勢を保つために深めになっています。
 ポジション合わせるために、別体になっていますが、一体成型のように剛性高いです。


エアロは机上のものではなく、実際のライドで効果を得る、最大化されるようになっています。
ダブルボトルでも、悪影響しないことはとても大切なことです。

ちなみにカーボンボトルケージ、それに付随する携帯工具システム、SWATもパッケージに含まれていて、ライドに必要なもの、オール・インになっていもいます。


もちろんUCI認可をとっていますので、ロードレースでの使用も全く問題ありません!

このチェーンステーの造形などフレーム各所は、とてもそそる仕上がりになっています。


このブレーキの一体化と逃げとの造形もたまりません!!


ちなみに、DI2の充電はこのエアロカバーに内挿されていますので、カバーを外して行います。
特別感を醸し出す、作業ですね~♪


ステムはサイジングにより導き出された長さに交換可能です!

エアロロード、薄くつくってエアロ効果もあり軽量です、って感じではなく、エアロ効果はもはや高くて当然であり、ロードバイクとしての骨太な乗り味と性能を高めたViAS、是非実際に”ガッツリ”試乗して実感してみてください!!


2014年8月19日火曜日

NEW S-WORKS TARMAC


新型ターマックの良さは、いつでも、どこでも、オールラウンドに走りやすい!
誰もが乗りこなせる高性能、といったところです。

練習でまとまった距離、雨のヒルクライムレースを走ってそう感じました。

そう、一言で言えば、「乗りやすい!」これに尽きます。




そう感じるのは、軽い挙動と、反応の良さからきていると思います。

加速と登板の軽さ、ダンシングの振りやすさと進みの良さ、車重が軽いことから感じるのは明白ですが、剛性、フレームの硬さからくる反発、それによる印象もあるかもしれません。

反応が早いのに分かり易いので、速度が遅く感じるほどに余裕が持て、ペダリング、バイクコントロールがとてもやりやすいのです。 



新しいターマックでは、サイズごとに最適な乗り心地、サイズが違っても同じ性能が得られるように、フレームの設計を行っています。


いうなれば、スケールダウンではなく、フレームサイズごと新型を作った、ということになります。

外観はSL4の筋骨隆々な感じから、いたってシンプルになっていまして、乗り味も反応を良くするように、硬さを削ぎ落した部分もあるように思います。

乗っていると、力を跳ね返されるという感じはなく、どちらかといえば、ペダルがスカッと空振りしているかのようなのに、バイクはスーーーーっと滑らかにスピードが上がっていきます。



とはいえマイヨジョーヌ、ツール・ド・フランスでの優勝を引き合いに出すまでもなく、世界最高のレースバイクでありますから、剛性が低いということは絶対にあるはずもなく、ペダルに立ち上がり大きなトルクを掛けた瞬間に、ターマックは股下からバイクが飛び出すがごとくに、たわみも淀みもなく一気に車速を上げていきます!

ヒルクライムレースでもとてもよいレスポンスで、高いトルクを掛けても、ピッチを意識しても、そのどちらでも進みがよく、勾配変化に応じて、もたつくということもありません。
後半、キツイところでガチャ踏みになっても、脚には嫌な反発もなく、進む方向にのみ反応してくれました。

ロードレースでの後半勝負にも、正確な走りが出来て最適でしょう。



路面からは振動をコツコツ伝えてくるものの、僅かなフィードバックも分かり易いので、状況に応じた操作、コントロールもとてもし易いです。

下りでの直線では路面から跳ねることもなく上手く収束してくれるのですが、高速コーナーで気持ちねじり気味に荷重をかけてもフォークやリアがよじれること無く路面を捉え続けてくれる高い安定性も、不安感を湧き上がらせず、安心してスピードに乗っていけます。レース中の下りコーナーでも前走者がライン上にいてのイン、アウトにラインを変えることも挙動が乱れること無く、ウエットでも安心して走れました。
もちろん、ブレーキもキャリパー性能が良くなったかのように、カッチリと効きますから、スピードコントロールした上で、思いのままに走れることでしょう。


初代ターマックは細身のカーボンバイクとして剛性と乗り心地の両立を目指し、
SL2でそこから剛性を上げてつつ軽量化という重量剛性比を上げていき、
SL3でもより軽く剛性をあげつつもバランスを向上させていき、
SL4では鬼の軽量化と鬼の剛性アップを果たしました。

新しいターマックでは、初代に戻ったかのような細身に立ち返り、軽量と剛性はそのままに、乗り味が、乗り心地を重視し、乗り手を選ばない、オールラウンドに乗りこなせる高性能なレーシングバイクとなりました。

見た目の変化よりも、中身の変化、それは誰もが試乗をすればすぐに分かる程です。


願わくば、レース中にもう一枚ギアをかけられれば、自分のイメージの走行感、スピードで性能を試せたのですが、今の自分の能力ではそこまで上げられず、しかしながらパワー域、速度域を選ず進むバイクだとも思いました。

どのサイズに乗っても、どの技量で乗っても、どのパワー域で乗っても、ワンランク上の走りを実現できるオールラウンドなレースバイクは、ガンガンレースに出て上りでアタック、下りで逃げる、ゴールスプリントを掛ける人も当然お薦めながら、金額さえ許せば一台目のバイクとして乗ってもらっても上達を導くような、そんなバイクでもありました。



2013年8月5日月曜日

2014 S-Works Epic Carbon WC 29 & S-Works Stumpjumper HT Carbon WC 29

2014 オールニューモデルである、S-Works Epic Carbon WC 29 &   S-Works Stumpjumper HT Carbon WC 29 をレース会場で実際に乗り込んでみてのインプレッションです。

1周4.2km弱を15周回、62kmで1445m、距離の割に登坂も多めで、激坂登り返し、ジープロードの上り、舗装路の上りと、シッティング、ダンシング、織り交ぜてこなしました。
下りもしっかりとスピードにのる区間が多く、大きなアールのコーナー、タイトコーナー、激坂下り、路面ギャップ、木の根、岩を利用して飛べるセクションなど楽しめるとても楽しいコースでした。

ここをエピックは3時間エンデューロで、HTは前日のコース試走で十分に乗ることが出来ました。

2台を乗り比べてまず感じることは、名前の通り”WC”ワールドカップを主としたXCOレースに完全に使用目的を特化、絞り込んで作られているということです。


現在のXCO競技時間は約1時間30分、大きなドロップオフや激しいロックセクションなどと、加速、減速が繰り返される早いコース展開により、よりショーアップされて映像映するようになっています。

2時間超の競技時間、ロングクライム、長いクルージングの下りなどがあった2000年代とはもはやかなり特性が変わってきていて、選手に求められる能力も変わってきています。

素早い加速力、巧みなバイクコントロール、ジャンプなど立体的なアクションをこなすこと、それらを最大努力で行い、スタートからゴールまでそれを反復、繰り返す必要があります。

じっくり腰を据えてアクセル一定のマイペースで巡航するのではなく、コーナー、下り、ロックセクションなどではアクションを要求されつつも、ペダリングパワーはゼロになり、その分加速パートではアクセル全開にすることを、貴方は何回出来ますか?と言うことが問われるわけです。

国内で言えば、エリートクラスならば”フルダッシュ&正確なアクション”を6周回分、エキスパートならば4周回分、スポーツならば2周回分を、キッチリ出来ますか?と言うことで、それぞれにマイペースで走っている場合ではない、ということです。

この2台のバイクはまさにそれにドンピシャ合わせた性能を追求しています。
逆に言えば、長時間のマイペース走行である、”エンデュランス”的な性能、安定性性だったり、快適性だったりは、”省く”ことでピュアXCOレーサーの立ち位置に特化していると言えます。

王滝などのロングを考慮するならば、今はまだ乗っていませんが、WCではないEPIC、HTの方を選んだ方が良い可能性があるでしょう。

以上の背景を踏まえて、この2台をインプレしていきたいと思います。



EPIC 全体

HT 全体


この2台はどちらもMサイズです。

身長175cm、体重67kgの自分では、サドル位置はBBセンターから730mm、サドルは一番前にセットしピラーはマックスラインでした。
ステムは110mm、90度に交換し、スペーサーは無しというセッティングで乗りました。
ハンドル角度はまだ煮詰める余地がありましたが、テストバイクを速攻で合わせた割には概ね良好なフィットを実現できていました。

ちなみに今現在は2012モデルのスタンプジャンパーHTのLサイズでステム100mmで乗っていますが、トップチューブ長が欲しくてLサイズを選びましたが、ホイールそのものが持つ安定性を考慮すれば、29バイクはホイールベースが短ければ短いほど、レースバイクとしては良いだろうと言わざるを得ません。
29ホイールの長所を活かすも、短所を無くすも、フレームの設計、サスペンション特性とのマッチング次第です。

大きめを選ぶとレースには向かないですが、小さめもセッティングが厳しいかもしれません。
ジャストサイズを選ぶことを、自分はオススメします。


フレーム、サスペンションの違い以外はほぼどちらも同じ仕様になっています。
詳しくは後述しますが、性能の狙いも、”走りの印象”もほぼ同じように感じます。

そう、この2台は限りなく、性能、特性が近づいています。


レースバイクとして必要な事は何か?

コースに合わせたクイックなハンドリング、乗り手のテクニックを遅れることなく実現する反応性、高いパワーで瞬時にトップスピードの乗る加速性、荒れた路面でもトラクションを確保する路面追従性、いずれも高いレベルで近いバランスにまとまっているのです。

そう、レーサーの求めるもの、そのものなのです。

29バイクでは、そのレーサーの求める要素の中で、加速の鈍さ、コーナーでの倒し込みの遅さ、傾きを維持する重さ、タイトターンの細かな旋回性、前後への荷重抜重の動きづらさ、
そういった29ホイールのネガといわれる部分が程度問題こそあれ、わずかでも感じるところは正直残っていました。大きフレームや、間延びしたディメンションのフレームに乗ると尚更です。

しかし、この2台では、もはやそれを感じること、ネガだと評価することは難しいでしょう。

レースにおける、それも中~後半に起こる、加速の鈍さ、ハンドリングの遅れ、荷重抜重の失敗、は乗り手が起こしているという当たり前の事実をシンプルに伝えてきます。

そう、前述の選手としてより速く走れる能力を有する人には、より速く乗れるバイクであり、そうでない人はその人の能力なりでしか乗れないバイクとなっています。

まさに”WC”の名に相応しいと言わざるを得ません。


たわみ、鈍さ、適度な重さ、などは僅かに反応を遅らせる代わりに、乗り手のテクニックの遅れをカバーして路面との接地を残し、安定を保つ、という効果があります。

そして、リア・サスペンションも同様であり、ジャンプなど大きな衝撃の吸収以外にも、乗り手の挙動にかかわらず常に路面を捉え続けようとしてくれているのです。

これらを徹底に締め上げ、排除したのがWCなのです。

この2台を乗り分ける、あるいは選び分けるには、”コース状況”にジャンプ、ドロップオフ、大きな立体的なセクションが含まれるか否かということ、そして、”乗り手”がリアの挙動をゴールまで確実にコントロール出来るか否か、その2つを考慮して決定することになります。

2013エピックとHTも今乗っても良いモデルだと思います。それは万人が乗りこなしやすい高性能ということが感じられるからです。逆に言えば、適度なたわみ、ゆとり、遅れ、があったということです。

乗りこなしやすさの目安として個人的な感覚は次の通りになります。

2013EPIC > 2013HT > 2014EPIC WC > 2014HT WC

そして速く走りやすいのは次のとおりです。

2013EPIC < 2013HT < 2014EPIC WC < 2014HT WC

まあ、これは極端な物言いではありますが、ご自身の目的と能力に応じて選んで欲しいと思います。

そして、”NOT WC”モデルの存在も忘れてはなりません。こちらは、きっとこのWCのピーキーな部分を僅かに抑えることで、乗りこなしやすさを拡充していると想像しています。

こちらが王滝、長時間エンデューロ、脚力に自信の持てない向きにはマッチしているはず。
個人的には、今の自分にはそのモデルが合っていると思っています。
王滝にも出るし、トレイルも楽しみたいし、最大加速のインターバルトレーニングもしないので、きっと合っているはずです。

また、シャーシ、基本設計自体は同じですから、29のネガを徹底的になくしたメリットは十二分にあるはずですし、素早く軽い操作性に安定が加われば、2時間以上の長時間ライドにはうってつけとなるはずです。

割り切ったからこそ、出来たカリカリのレース性能がWCの魅力だといえます。

では、細かく見て行きましょう。

EPIC BB周り

WCマークが輝くシートステーは完全にFメカがつかない四角形状で剛性をガチガチに上げています。
BBダウンチューブに繋がる接合でも剛性重視が窺い知れます。


HT BB周り

HTもボリュームを持たせて、図太いチェーンステーでパワー伝達を最大限に狙っています。
こちらはFメカは取り付けられそうですが、WCではそれは必要としていません。

なぜならフロントはシングルギアがWCレースの標準となっているからです。

EPIC クランク周り

HT クランク周り

クランク周りはどちらも同一で、SRM11スピードを前提とした設計になっています。
極太で4アームまで一体のまさに剛性の塊となった新型クランクはカッチカチです。

ギアは32Tになっていて、レースのためにトレーニングしているならばこれくらで調度良いですよね、と云わんばかりに当たり前のように備わっています。

チェーンとギアが、ピンごとにしっかり噛み合うようにオス・メスの設計になっていて、BB、クランク、ギア板、チェーンとまるでピストのようにソリッドで一体感のあるペダリング感は、クルクル回してないで、ガンガン漕ごうと訴えかけてきます。

遊びのないダイレクトなそのフィーリングはレースでは最高です。

EPIC チェーンステー

EPICはチェーンステーが超極太になっています。
これによりギア数に制限が出てきますが(軽いギアがつかない)、その加速性と反応性はHT並となっています。

ブレインのセッティングも広範囲なトレイル向きなセッティングまでソフトにはならずに、ハードな範囲での狭い範囲での微調整が出来るようになっています。細かなところまでWC仕様です。



EPICヘッド周り

HTヘッド周り

ヘッド周りはどちらもほぼ同一で、ダウンチューブとトップチューブの接合面の幅と範囲を大きくとって一体化していて圧倒的な剛性を狙っています。

Fサスの肩はカーボンでこれまた硬いし、軽くも出来ています。

ヘッドまわりは乗っていてもなんの不安もラグも感じません。サスペンションの動く方向と量だけが正確に動き、それ以外は自分のブレ、肘と肩の動きの悪さ、なんだとよく分かります。

倒しこんでも、無理やり切り返しても、激坂で荒れた路面でのハードなブレーキでも、微塵もびくともしません。

EPIC リア周り

HT リア周り

リア周りはどちらも142+のスルーアクスルになりました。エピックは以前からでHTはこのモデルからの変更です。
HTはもうコレはターマックを超えた!といっていいほどの剛性感です。ガチガチといっていいでしょう。
そのおかげでねじれ、たわみはどちらもやはり微塵もびくともしません。

BB、ダウンチューブ、ヘッド、シートステーからのリアバックと徹底的に剛性重視でレーサーの求める加速性に応えています。

HTの加速性は、今後、ロードもスルーアクスルにしたほうが良いのではないか、早晩そうなるのではないか、という新しい可能性を感じさせるほどのスピードの乗りです。

EPICもこれに程近いシャープ感がありますが、それはサスペンションセッティング次第といったところもあります。

いずれにせよ、この加速性に不満を漏らす方は、1000w超を常時かけられるような稀な存在だけでしょう。


HT トップ&シートステー

もちろんMTBは硬ければよい訳ではありませんから、その辺りはこのシートステーとトップチューブでバランスしています。

異様に細いシートステーは路面追従性を極限まで高め、エピックのハードセッティングのような感覚でギャップを通過出来ます。

トップチューブも同様に薄くつくられていて(幅は広く強さは確保)、乗り手に伝わる振動とその疲労を最小限に留めてくれます。
この最小限というのは、1.5時間ならば問題ないよね、という程度ではありますが。

バックがねじれたわまないことで、シートステーのしなる方向にだけ突き上げが作用してくれますので、大きなギャップではサス的効果はかなり高いレベルで感じられますし、実際に上手くなったかのような錯覚すら与えてくれます。

しかし、細かな木の根や岩、それが不規則なリズムの繰り返しだったりすると、ダンパーのないカーボンの素早い戻りに、膝の荷重抜重が付いていかず遅れを取ると、タイミングが狂い、弾かれてしまいます。同様に、バイクが少し傾いていたりすると、さらに上手くテクニックを駆使しないとリアがすぐに流れてしまいます。

上手い人には造作も無い事なのでしょうが、疲れていても同じようにコントロール出来るかどうか、そこも選びどころの一つでしょう。
これもまた自分がピーキーだと感じる所為です。



Fサスはどちらも共用の15mmスルーアクスルのSIDブレインフェード仕様になっています。
剛性も高く、ハンドリングのキレのよさにも大きく貢献しているようです。

ストローク設定はそれぞれ最適化されていて、EPICWCは95mm(通常は100mm)、HTはSサイズは80mm、Mサイズ以上は90mmとなってます。

HT Sサイズの80mmは低いハンドルポジションの実現も狙っているのでしょう。

サスは軽く、コーテングされたインナーチューブ効果もあり、非常にスムーズなストロークです。
ストローク量も29ホイールの効果もあり、必要にして十分だと感じました。

ただし、3時間近くにあると腕の疲労で動きが鈍くなるので、もう少し余裕があったほうが結果的にブレーキを少なくして、速く走れる可能性も感じました。これはノーマルEPICに期待ですね。



ホイールも同一仕様です。

新設計のROVALコントロールSLで幅が広くなり、より強く、より軽くなるとともに、タイヤの接地形状を最適化して、路面グリップをより良くしてくれています。

この圧倒的なグリップと安定感は29ホイールならではで、ゆえにあれだけクイックでピーキーなフレーム設計ができたのだと思います。

全体バランスは本当に高く、完成されています。



このリムは写真で見ても分かる通り、丸い半円形状をしています。
タイヤの半円とあわせるとまるで断面は雪だるまのようになっています。

このリムはなんと内側のフックがない構造になっていて、この形状とタイヤの内圧で結合するようになっています。

今回は1.7気圧という低圧で使いましたが、よれたり、外れそうな不安感もなく、よりエアボリュームを感じさせてくれました。

むしろ後半、疲れた自分自身の反応速度が問題で、加速の踏み出しが鈍る、ブレーキのリリースが遅れる、倒しこみが甘くラインが膨らむ、という乗り手に起因してしまいましたが、
それでも久々のMTBで上手くなった気がしたのは、切れよく素早い反応とナチュラルで素直な操作性のおかげです。

軽い加速性はこのホイールの効果も良く影響しているでしょう。ホイール単体性能もかなり高いはずです。



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ただし、ただしインプレをよく読み、ご自身にあった用法、用量を守り正しくお使いくださいね~w