2013年8月5日月曜日

2014 S-Works Epic Carbon WC 29 & S-Works Stumpjumper HT Carbon WC 29

2014 オールニューモデルである、S-Works Epic Carbon WC 29 &   S-Works Stumpjumper HT Carbon WC 29 をレース会場で実際に乗り込んでみてのインプレッションです。

1周4.2km弱を15周回、62kmで1445m、距離の割に登坂も多めで、激坂登り返し、ジープロードの上り、舗装路の上りと、シッティング、ダンシング、織り交ぜてこなしました。
下りもしっかりとスピードにのる区間が多く、大きなアールのコーナー、タイトコーナー、激坂下り、路面ギャップ、木の根、岩を利用して飛べるセクションなど楽しめるとても楽しいコースでした。

ここをエピックは3時間エンデューロで、HTは前日のコース試走で十分に乗ることが出来ました。

2台を乗り比べてまず感じることは、名前の通り”WC”ワールドカップを主としたXCOレースに完全に使用目的を特化、絞り込んで作られているということです。


現在のXCO競技時間は約1時間30分、大きなドロップオフや激しいロックセクションなどと、加速、減速が繰り返される早いコース展開により、よりショーアップされて映像映するようになっています。

2時間超の競技時間、ロングクライム、長いクルージングの下りなどがあった2000年代とはもはやかなり特性が変わってきていて、選手に求められる能力も変わってきています。

素早い加速力、巧みなバイクコントロール、ジャンプなど立体的なアクションをこなすこと、それらを最大努力で行い、スタートからゴールまでそれを反復、繰り返す必要があります。

じっくり腰を据えてアクセル一定のマイペースで巡航するのではなく、コーナー、下り、ロックセクションなどではアクションを要求されつつも、ペダリングパワーはゼロになり、その分加速パートではアクセル全開にすることを、貴方は何回出来ますか?と言うことが問われるわけです。

国内で言えば、エリートクラスならば”フルダッシュ&正確なアクション”を6周回分、エキスパートならば4周回分、スポーツならば2周回分を、キッチリ出来ますか?と言うことで、それぞれにマイペースで走っている場合ではない、ということです。

この2台のバイクはまさにそれにドンピシャ合わせた性能を追求しています。
逆に言えば、長時間のマイペース走行である、”エンデュランス”的な性能、安定性性だったり、快適性だったりは、”省く”ことでピュアXCOレーサーの立ち位置に特化していると言えます。

王滝などのロングを考慮するならば、今はまだ乗っていませんが、WCではないEPIC、HTの方を選んだ方が良い可能性があるでしょう。

以上の背景を踏まえて、この2台をインプレしていきたいと思います。



EPIC 全体

HT 全体


この2台はどちらもMサイズです。

身長175cm、体重67kgの自分では、サドル位置はBBセンターから730mm、サドルは一番前にセットしピラーはマックスラインでした。
ステムは110mm、90度に交換し、スペーサーは無しというセッティングで乗りました。
ハンドル角度はまだ煮詰める余地がありましたが、テストバイクを速攻で合わせた割には概ね良好なフィットを実現できていました。

ちなみに今現在は2012モデルのスタンプジャンパーHTのLサイズでステム100mmで乗っていますが、トップチューブ長が欲しくてLサイズを選びましたが、ホイールそのものが持つ安定性を考慮すれば、29バイクはホイールベースが短ければ短いほど、レースバイクとしては良いだろうと言わざるを得ません。
29ホイールの長所を活かすも、短所を無くすも、フレームの設計、サスペンション特性とのマッチング次第です。

大きめを選ぶとレースには向かないですが、小さめもセッティングが厳しいかもしれません。
ジャストサイズを選ぶことを、自分はオススメします。


フレーム、サスペンションの違い以外はほぼどちらも同じ仕様になっています。
詳しくは後述しますが、性能の狙いも、”走りの印象”もほぼ同じように感じます。

そう、この2台は限りなく、性能、特性が近づいています。


レースバイクとして必要な事は何か?

コースに合わせたクイックなハンドリング、乗り手のテクニックを遅れることなく実現する反応性、高いパワーで瞬時にトップスピードの乗る加速性、荒れた路面でもトラクションを確保する路面追従性、いずれも高いレベルで近いバランスにまとまっているのです。

そう、レーサーの求めるもの、そのものなのです。

29バイクでは、そのレーサーの求める要素の中で、加速の鈍さ、コーナーでの倒し込みの遅さ、傾きを維持する重さ、タイトターンの細かな旋回性、前後への荷重抜重の動きづらさ、
そういった29ホイールのネガといわれる部分が程度問題こそあれ、わずかでも感じるところは正直残っていました。大きフレームや、間延びしたディメンションのフレームに乗ると尚更です。

しかし、この2台では、もはやそれを感じること、ネガだと評価することは難しいでしょう。

レースにおける、それも中~後半に起こる、加速の鈍さ、ハンドリングの遅れ、荷重抜重の失敗、は乗り手が起こしているという当たり前の事実をシンプルに伝えてきます。

そう、前述の選手としてより速く走れる能力を有する人には、より速く乗れるバイクであり、そうでない人はその人の能力なりでしか乗れないバイクとなっています。

まさに”WC”の名に相応しいと言わざるを得ません。


たわみ、鈍さ、適度な重さ、などは僅かに反応を遅らせる代わりに、乗り手のテクニックの遅れをカバーして路面との接地を残し、安定を保つ、という効果があります。

そして、リア・サスペンションも同様であり、ジャンプなど大きな衝撃の吸収以外にも、乗り手の挙動にかかわらず常に路面を捉え続けようとしてくれているのです。

これらを徹底に締め上げ、排除したのがWCなのです。

この2台を乗り分ける、あるいは選び分けるには、”コース状況”にジャンプ、ドロップオフ、大きな立体的なセクションが含まれるか否かということ、そして、”乗り手”がリアの挙動をゴールまで確実にコントロール出来るか否か、その2つを考慮して決定することになります。

2013エピックとHTも今乗っても良いモデルだと思います。それは万人が乗りこなしやすい高性能ということが感じられるからです。逆に言えば、適度なたわみ、ゆとり、遅れ、があったということです。

乗りこなしやすさの目安として個人的な感覚は次の通りになります。

2013EPIC > 2013HT > 2014EPIC WC > 2014HT WC

そして速く走りやすいのは次のとおりです。

2013EPIC < 2013HT < 2014EPIC WC < 2014HT WC

まあ、これは極端な物言いではありますが、ご自身の目的と能力に応じて選んで欲しいと思います。

そして、”NOT WC”モデルの存在も忘れてはなりません。こちらは、きっとこのWCのピーキーな部分を僅かに抑えることで、乗りこなしやすさを拡充していると想像しています。

こちらが王滝、長時間エンデューロ、脚力に自信の持てない向きにはマッチしているはず。
個人的には、今の自分にはそのモデルが合っていると思っています。
王滝にも出るし、トレイルも楽しみたいし、最大加速のインターバルトレーニングもしないので、きっと合っているはずです。

また、シャーシ、基本設計自体は同じですから、29のネガを徹底的になくしたメリットは十二分にあるはずですし、素早く軽い操作性に安定が加われば、2時間以上の長時間ライドにはうってつけとなるはずです。

割り切ったからこそ、出来たカリカリのレース性能がWCの魅力だといえます。

では、細かく見て行きましょう。

EPIC BB周り

WCマークが輝くシートステーは完全にFメカがつかない四角形状で剛性をガチガチに上げています。
BBダウンチューブに繋がる接合でも剛性重視が窺い知れます。


HT BB周り

HTもボリュームを持たせて、図太いチェーンステーでパワー伝達を最大限に狙っています。
こちらはFメカは取り付けられそうですが、WCではそれは必要としていません。

なぜならフロントはシングルギアがWCレースの標準となっているからです。

EPIC クランク周り

HT クランク周り

クランク周りはどちらも同一で、SRM11スピードを前提とした設計になっています。
極太で4アームまで一体のまさに剛性の塊となった新型クランクはカッチカチです。

ギアは32Tになっていて、レースのためにトレーニングしているならばこれくらで調度良いですよね、と云わんばかりに当たり前のように備わっています。

チェーンとギアが、ピンごとにしっかり噛み合うようにオス・メスの設計になっていて、BB、クランク、ギア板、チェーンとまるでピストのようにソリッドで一体感のあるペダリング感は、クルクル回してないで、ガンガン漕ごうと訴えかけてきます。

遊びのないダイレクトなそのフィーリングはレースでは最高です。

EPIC チェーンステー

EPICはチェーンステーが超極太になっています。
これによりギア数に制限が出てきますが(軽いギアがつかない)、その加速性と反応性はHT並となっています。

ブレインのセッティングも広範囲なトレイル向きなセッティングまでソフトにはならずに、ハードな範囲での狭い範囲での微調整が出来るようになっています。細かなところまでWC仕様です。



EPICヘッド周り

HTヘッド周り

ヘッド周りはどちらもほぼ同一で、ダウンチューブとトップチューブの接合面の幅と範囲を大きくとって一体化していて圧倒的な剛性を狙っています。

Fサスの肩はカーボンでこれまた硬いし、軽くも出来ています。

ヘッドまわりは乗っていてもなんの不安もラグも感じません。サスペンションの動く方向と量だけが正確に動き、それ以外は自分のブレ、肘と肩の動きの悪さ、なんだとよく分かります。

倒しこんでも、無理やり切り返しても、激坂で荒れた路面でのハードなブレーキでも、微塵もびくともしません。

EPIC リア周り

HT リア周り

リア周りはどちらも142+のスルーアクスルになりました。エピックは以前からでHTはこのモデルからの変更です。
HTはもうコレはターマックを超えた!といっていいほどの剛性感です。ガチガチといっていいでしょう。
そのおかげでねじれ、たわみはどちらもやはり微塵もびくともしません。

BB、ダウンチューブ、ヘッド、シートステーからのリアバックと徹底的に剛性重視でレーサーの求める加速性に応えています。

HTの加速性は、今後、ロードもスルーアクスルにしたほうが良いのではないか、早晩そうなるのではないか、という新しい可能性を感じさせるほどのスピードの乗りです。

EPICもこれに程近いシャープ感がありますが、それはサスペンションセッティング次第といったところもあります。

いずれにせよ、この加速性に不満を漏らす方は、1000w超を常時かけられるような稀な存在だけでしょう。


HT トップ&シートステー

もちろんMTBは硬ければよい訳ではありませんから、その辺りはこのシートステーとトップチューブでバランスしています。

異様に細いシートステーは路面追従性を極限まで高め、エピックのハードセッティングのような感覚でギャップを通過出来ます。

トップチューブも同様に薄くつくられていて(幅は広く強さは確保)、乗り手に伝わる振動とその疲労を最小限に留めてくれます。
この最小限というのは、1.5時間ならば問題ないよね、という程度ではありますが。

バックがねじれたわまないことで、シートステーのしなる方向にだけ突き上げが作用してくれますので、大きなギャップではサス的効果はかなり高いレベルで感じられますし、実際に上手くなったかのような錯覚すら与えてくれます。

しかし、細かな木の根や岩、それが不規則なリズムの繰り返しだったりすると、ダンパーのないカーボンの素早い戻りに、膝の荷重抜重が付いていかず遅れを取ると、タイミングが狂い、弾かれてしまいます。同様に、バイクが少し傾いていたりすると、さらに上手くテクニックを駆使しないとリアがすぐに流れてしまいます。

上手い人には造作も無い事なのでしょうが、疲れていても同じようにコントロール出来るかどうか、そこも選びどころの一つでしょう。
これもまた自分がピーキーだと感じる所為です。



Fサスはどちらも共用の15mmスルーアクスルのSIDブレインフェード仕様になっています。
剛性も高く、ハンドリングのキレのよさにも大きく貢献しているようです。

ストローク設定はそれぞれ最適化されていて、EPICWCは95mm(通常は100mm)、HTはSサイズは80mm、Mサイズ以上は90mmとなってます。

HT Sサイズの80mmは低いハンドルポジションの実現も狙っているのでしょう。

サスは軽く、コーテングされたインナーチューブ効果もあり、非常にスムーズなストロークです。
ストローク量も29ホイールの効果もあり、必要にして十分だと感じました。

ただし、3時間近くにあると腕の疲労で動きが鈍くなるので、もう少し余裕があったほうが結果的にブレーキを少なくして、速く走れる可能性も感じました。これはノーマルEPICに期待ですね。



ホイールも同一仕様です。

新設計のROVALコントロールSLで幅が広くなり、より強く、より軽くなるとともに、タイヤの接地形状を最適化して、路面グリップをより良くしてくれています。

この圧倒的なグリップと安定感は29ホイールならではで、ゆえにあれだけクイックでピーキーなフレーム設計ができたのだと思います。

全体バランスは本当に高く、完成されています。



このリムは写真で見ても分かる通り、丸い半円形状をしています。
タイヤの半円とあわせるとまるで断面は雪だるまのようになっています。

このリムはなんと内側のフックがない構造になっていて、この形状とタイヤの内圧で結合するようになっています。

今回は1.7気圧という低圧で使いましたが、よれたり、外れそうな不安感もなく、よりエアボリュームを感じさせてくれました。

むしろ後半、疲れた自分自身の反応速度が問題で、加速の踏み出しが鈍る、ブレーキのリリースが遅れる、倒しこみが甘くラインが膨らむ、という乗り手に起因してしまいましたが、
それでも久々のMTBで上手くなった気がしたのは、切れよく素早い反応とナチュラルで素直な操作性のおかげです。

軽い加速性はこのホイールの効果も良く影響しているでしょう。ホイール単体性能もかなり高いはずです。



Jシリーズで上位を目指す

そのための速くなるためのトレーニングは厭わない

テクニックの上達のための練習もする

切れ味のするどいバイクコントコントロールを愉しめる

加速、スピードこそ命

そんなレーシーなライダーには超おすすめです!


ただし、ただしインプレをよく読み、ご自身にあった用法、用量を守り正しくお使いくださいね~w








2013年6月3日月曜日

SITERO PRO

新しいコンセプトのタイムトライアル、トライスロン専用サドル、SITERO/シテロ を乗り込んだので解説していきます。

SITERO PRO

いわゆる前乗りとなるエアロフォームでの、”SIT”着座快適性追求と、”AERO”空気抵抗低減を目的としたサドルであり、名前は、 SITERO=SIT+AERO から由来しています。


この独特なサドル形状は、DHバーをもって深く前傾したエアロフォームでの着座に最適化した結果なのです。

通常サドルの前部、ノーズの部分がカットされていると考えてみいいでしょう、概ね6cmくらい取り除かれている感覚です。

その分、深く伏せても通常のサドル前部の硬さと細さから受ける股下の圧迫がなくなります。

また後で述べるライディングシーンにおける様々な制約から開放される利点があります。






深く骨盤を倒した状態で着座してもシテロは、深い溝、適切な前部の幅、そして適度な厚さで腰のある固めのパッドにより、痛みを覚えないようになっています。

この溝、幅、パッドのバランスが秀逸で、痛みは起こさず、しかし、十分な密着と支えを提供してくれて、腰がとても安定します。
幅は太過ぎないので、内ももに干渉してペダリングしづらくなることもありません。
パッドも柔らか過ぎないので、高いペダリングパワーで漕いでもフワフワグニャグニャと返って不安定になることもありません。

表皮にパンチング加工してある部分が着座に適した範囲です。長い範囲の中で、個々人それぞれの骨盤の幅、角度、好みに合わせて、着座する箇所を任意に選ぶことが出来るのです。

自分が乗り込んだ感じだと、骨盤をやや起こした時には座骨結節後部が接するときは中間からやや後ろ側に着座し、骨盤を深く倒した時には座骨結節前部が接する時は中間よりも前に座るようにするとサドルと一体化したかのような、ピシっとした安定感が得られます。

この安定感がものすごく高く、通常のサドルに前乗りなった時のように股下の接地感が乏しく左右にグラグラしたり、細身で圧迫が集中して必要な荷重も出来ないことから生じる、不安定さを一切感じません。

骨盤を倒して、恥骨周辺が当たるような状況でも、下から確かに支えてくれる安定はあっても、ギューっと当て込まれる局所の痛み、しびれは皆無で、大パワーで長距離を連続して乗っても不快になることはありませんでした。

また、ベースバーを持って上体を起こして、骨盤が立った上体でも、座骨がガッチリと後部の広がった部分に十分に乗ることで、相当高い安定を得られます。

これは上りでのペダリングにかなりプラスになります。起きた姿勢でも腰が安定してパワーが高まる効果は、上りが多く含まれるであろう、IRONMAN北海道などのコースでかなり有効、生きてくるはずです。

”SIT”の効果は誰でも装着すれば、そのままその恩恵を得られることでしょう。



シテロの”AERO”はこだわりの設計に現れています。
ボトルケージを一本、一番空気抵抗の少ないサドル後部にビルトイン出来るようになっています。
SHIVならばハイドレーション内臓なので、エイドで受け取ったスペアボトルをハイドレーションに移し替えるまでここに装着するという意味あいなので、一本で十分なのです。
もちろん、従来型のアタッチメントをシートレールにつけたい人向けには、ステーを取り除き後部が露出するカバーも付いて対応しています。

一体型は見た目がとてもスマートに決まりますが、別体金属ステーなどを使用しないので、とても軽く仕上がります。
カーボンレールのSITERO PRO ですとステー、ケージ込で約250gと、この手の専用サドルにケージアタッチメントを付けることを考えると、ものすごい超軽量になります。



実際にバイクに装着するとこのような感じに、近未来的なフォルムになります。

TTバイクでの使用の場合、BBよりも5cm後退というUCIルールに則っても、より適切なサドルポジションにセットしやすいといえるでしょう。
自分がローミンでセットした場合はBB中心よりも2cmも先端が前に出ていましたが、この状態だとBB中心よりも4cm後退しています。あと1cm引けば良いので、なんとか適切に座れる範囲を保てることでしょう。

トライアスロンだけでなく、後部ボトルケージを取り除けばTTレースにもオススメです。



ライディングにおいては、上面のフラットでなめらかな形状が、スムーズな姿勢の変化を促してくれます。
柔軟性の範囲で痛みなく、楽に深い姿勢を実現してくれますので、結果的にエアロフォームをより最適化してくれて、結果的に一番空気抵抗を生み出すライダーの高さを抑えて前面投影面積を小さくしてくれるのです。

また、この形状によりあらゆる人が自分に適した着座位置を見つけやすいという特徴もありますので、男性も女性も、柔軟性の高い低いも、座骨幅にもとらわれることなく、装着することが出来ますので、トライアスリートならば誰にでもオススメできるサドルなのです。


なめらかな形状は、シッティングでの腰の位置をいろいろと変えられ、後部のボトルも邪魔にならない位置になっていることから、下りやブレーキングで腰を引いたり、コーナリングで荷重を内外に移し変える時も広い範囲で行うことができます。

またノーズがないことから、ダンシングの時に干渉することもなく、最適なペダル荷重位置でダンシングができます。これはしっかりペダルに乗れる上級者には大歓迎されることうけあいです。

より安心してあらゆるバイクコントロールをすることが出来ますので、前乗り専用バイクが心配な方には特に強くオススメします。




この状態でIRONMANケアンズに向け慣熟走行を繰り返しました。

サドルからの痛みで骨盤を倒すほどに前傾できない、ということがないでいくらでも前に伏せて姿勢を低くしてエアロ効果を得ることが出来ます。

しかし、姿勢を深くするとペダリング上死点の適切な可動範囲を越えてしまい、スムーズな通過ができずケイデンスが上がらない、踏む荷重が遅れる、結果的にパワーが高まらない、という症状が出てしまいました。

そこで、ペダリングを最優先させながら、腰と背中の緊張を減らし負担を減らしつつ穏やかに前傾を増す程度に止め、ペダルによりしっかりと力を掛けられるように修正をしていき、その両立、バランスがとれた状態に決定しました。






こちらが一番低い姿勢(右)と、バランスをとった姿勢(左)との比較です。
やや頭が上がったものの、ペダリングのスムーズさ、上体の安定が全く違うことが見て取れます。

誰にでも、高い安定性と快適性を提供、そしてエアロ効果改善の機会を与えてくれるシテロは、掛け値なく全てのアスリートにおすすめです!

ただし、自分のトライアンドエラーのように、しっかりと自分自身のペダリングを優先した、股関節可動域に合わせたフィッティングで最高のエアロフォームで乗ってくださいね!


2013年1月17日木曜日

ヘルメット/Tactic & S-Works Prevail

MTBで前方一回転の転倒をした時に、自分の頭を守ってくれたのはヘルメットでした。

頭部の左横後方に軽いたんこぶが出来ていたので、もしヘルメットが十分な働きをしてくれなかったら、と考えると末恐ろしくなりました。


そのクラッシュしたヘルメットを細かく見ますと、
サイドも割れていて樹脂の帽体の中にあるケブラーで強化されている
インナーマトリックスという骨格が見て取れます。
これが超軽量でありながら、樹脂が離散して頭部がダメージを
負うことを防いでくれる縁の下の力持ちです。


2つの密度の異なる樹脂で強度と軽さを最適化していますが、
そのサイドと中央の結合部も分離することなく、応力を受けた箇所が
破損しています。

軽さと安全性の高い融合ですね。


後部も、分厚い樹脂の箇所がパックリと割れています。

前回りのような着地の場合、後頭部が地面に接触しやすいので、
分厚く作られていますので、大きな衝撃を吸収してくれたことが
分かります。

このように、本当に必要な機能、転倒時の頭部の保護、といった

見えない性能、安全性が、重要なポイントです。

ヘルメットは何のためにかぶるのか、万が一の安全性確保が第一ですから。

そのために、転倒の際にずれないように、頭部形状に合っていること、
ストラップもしっかりと装着していることが、使用に際して大切なことです。

また、ヘルメットの使用期限を守ることも同様に大切でしょう。
樹脂と接着、という技術で、軽さと安全性を確保していますので、
紫外線や雨などの耐候性も考慮したとしても、メーカー推奨の2年で、
あまり使用しないとしても3年では必ず交換したいですね。





前回り着地での後頭部の衝撃を受ける可能性と、保護の重要性は
前述のダメージから、理解できると思います。

MTBでは、様々な路面状況、岩、木の根、段差などの障害物で
前輪が引っかかったり、後輪が跳ね上げられて、前方への転倒、
前回り着地のリスクがとても高くなります。

そのため、MTB専用のヘルメットでは、後部を十分に覆う設計になっています。

XCレースのように速さのために軽さを重要にする乗り方以外、
トレイルライドなどで安全性を重視するならば、このタイプのヘルメットがオススメですね。




”TACTIC”というMTB、トレイル&&オールマウンテン用のヘルメットになります。


写真は2012モデルになりますが、2013ではさらに被りやすくなっています。


安全性を高く確保とはいえ、ヘルメットに必要な高い通気性は確保しています。
レース用のプリヴェイルとくらべても、その作りから通気性が見て取れると思います。
そのうえで、帽体がしっかりと厚く作られていることも分かりますね。

ヘルメットも、時と場合、そして乗り手に応じて、最適なモデルは変わってくるので、
複数モデルの中から、より自分自身に合ったモデルを選んでみて下さい。



そして、割れたヘルメットはその役割を全うしてくれましたので、
自分のお気に入り、”PREVAIL”の2013モデルに更新です。

自分の頭部を守ってくれたことから、安全性には絶対の信頼性を置いています。

であるならば、見える部分、デザインやカラーリングは、各自の好み、で
選べるバリエーションがあると嬉しいですね。

プリヴェイルはカラーも豊富なので、様々なコーディネートに合わせることが可能です。
下記リンクからカラー・バリエーションをご確認下さい。




寒い時期は少々困るほどの(苦笑)、高い通気性、冷却効果もあります。

この前面から空気を後部まで強制的に通過させ冷やすように、
空気力学を活かした設計になっています。


後部のダクトが空気を後に排出、逃がしてくれることが目で見てもわかるかと思います。

前部~後部までできるだけ頭部に沿いながらもまっすぐに空気が流れるように、
前部の流入と後部の排出がストレートになっていることが分かりますね。


前述のヘルメット着用の大事なポイント、転倒の際にずれないように、
頭部形状に合っていて、ストラップの確実な装着、そのためには、
ヘルメットがしかりと対応している必要があります。

プリヴェイルは、アジアンフィットを採用しているので多くの日本人に最適な頭部形状を
実現しているので、痛みや不快なくしっかりと被ることが出来ます。

そしてフィットも、後部の超軽量のMindsetマイクロダイヤルフィットシステムにより、
ホールドする位置の高さを調節して、ヘルメットを収まりの良い位置にして、最適な締め付けで
頭に固定出来ます。ちなみに冬期は頭にウォーマーを被ると思いますので、それに対しても
高さと締め付けを調整して、対応がしやすいのも重宝しています。
その高い固定力は、ストラップ無しでも被れるのでは、と思うほどしっかりして、
ライディング中もブレることもなく、圧迫もなく快適です。

もちろん、ストラップは締めなければなりません!
が、いちいちアジャスターを調整して、あごひもをああして、こうしてとやるのが面倒で、
適当に、だらりとしれしまっている人も多いことも事実。

このプリヴェイルではストラップが、Tri-Fixウェブスプリッターという、簡単な長さ調整のみに
手間を減らしてくれる親切機能が備わっています。

安全性を最大限確保した上での、軽量性と快適性でパフォーマンスもアップさせる、
ロード、レース、そのための性能を活かすフィッティングを獲得しているプリヴェイルを
ぜひご自身の頭で確認してみて下さい。

きっと気に入るはずですよ!











2013年1月14日月曜日

S-Works Stumpjumper FSR Carbon 29


山の頂から、稜線から下界を広く臨む、都会の喧騒、
日常の雑多から逃れて山で一日を過ごす。

そんな日を楽しめるマウンテンバイク。


山を走りたい!無理なく、安全に、楽しく、そんな方にお勧めなのが
スタンプジャンパーFSR、その最上位機種がこのSワークス!

 S-Works Stumpjumper FSR Carbon 29 



山には舗装路と違い、ものすごく変化に富んだ様々なセクションが待ち受けています。

見晴らしがよく適度にスピードの乗る直線、
木々を縫うように走るなめらかなコーナー、穏やかなリズムで繰り返されるアップダウン、
などの走りやすい箇所はもとより、ぎりぎり乗れるかどうかの激坂、
切通しの狭い空間、斜面にきられた鋭角のスイッチバック、
細かく張った木の根、大きな岩々、腰ほどの段差、ドロップオフ、
そしてアプローチの舗装路の長い長い上り、という難所もあり、
バイクに乗れずに押して歩いたり担ぎあげたりもします。

しかし、そこを乗ってクリアする悦びは格別なものです。
思いのままに操るためのコントロール性、そして安全に走り切る重要性、
無理をさせない余裕を感じさせる乗り心地、これらを与えてくれる極上のバイクが
スタンプジャンパーFSRなのです。


各部を見ていくと、まずフレームはレースクオリティのカーボン、
29er専用ジオメトリーを持つFACT 11mです。

175cmの自分はMサイズで乗りましたが、コントロール性も考えて、
またトレイルでの旋回、最小半径なども考えるとこれがドンピシャです。

ステムは純正の75mmから105mmに換えても乗りましたが、
操作性は変わらずにシャープでいい感じ。

ヘッドやフォーク各などフレームのジオメトリの良いからでしょう。

29だから曲りづらいということはありません。

ただし、26のように適当にクルクル曲がるかというとそうでもなく、
しっかりと腰から大腿で挟んだバイクを倒しこみ、身体の向きを進行方向に向けるという
しっかり確実な操作をした方が、シャープで気持ちのよいコーナリングが出来ます。

全体の重量バランスもいい感じなのでしょう。
29でも腰高感はないですし、前後の荷重にも均等な感じがあります。


ホイールも同様にカーボンホイールで、これがレースライクで超軽量!
走りの良さを際立たせてくれています。


リム幅やスポークテンションをトレイルに向くチューニングになっていて、
加速重視のレース系のソリッドな乗り心地よりも、
コントロールと路面追従性を高めています。

この Roval Control Trail SL 29 142+は、12㎜スルーアクスルになっていて
ハブ軸とエンドの合わせ剛性がものすごく高くて、不安感や微小なズレ感などの
雑味はまるでなくピシっとしているのに乗り心地が良いと、とてもいいバランスなんです。

このピシっとしているのに乗り心地が良い、はバイク全体にも言えることで
サスペンションも前後同じ味わいです。



リアサスペンションはカスタムメイドのFOXでカシマコートで究極の滑らかさを実現しています。
摩擦、ってなに?と思うほどにスッ入り戻る感じには誰もが唸ることでしょう。

そのサスペンションを活かすためには当然完璧なエアセッティングが必須ですが、
”オートサグ”搭載のSPECIALIZEDのリアサスバイクならば簡単に、その高性能を引き出せます。

往々にして固めのセッテイングをしがちな方が多いですが、エアは適正にして、
乗る方の好みと状況、スピードに応じて、入りと戻りのダンピングのセッティングを
してあげたほうが良いでしょう。



Sワークスならば、トレイルチューンのブレインフェードが装備されていますので、
ペダリングパワーに応じて、あるいは登り返しのダンシングの頻度などで
ペダリングロスのないブレインのセッティングをしてあげればバッチリです。

ちなみに自分は、一番強く効かせて上り重視で走りますが(リバウンドは速め)、
激しく繰り返される木の根の通過衝撃も、ボトムアウト寸前の大きな衝撃にも
ブレインにより渋さやコツコツ感など抑制されていることをまるで感じずに
不快知らずでスムーズに走ることが出来ます。



フロントサスペンションもカシマコート加工がされていて、ストロークしている抵抗を
まるで感じない極上仕様のフォックス・タラスCTDファクトリー29です。

剛性も当然良い感じでスルーアクスルと相まって、ピシっとしていてススッとストロークする感は
本当に最高です。

しっかりしているからこそ、しなやかに動ける、人もサスペンションも同じですね。




サスペンション長も可変式で、130/105㎜を左の肩のレバーのワンクリックで調節可能です。
上りでは短く、下りでは長くして使いますが、右肩のコンプダイアルでさらにそれぞれの、
沈み込み特性も柔らかくも粘るようにするのも自由自在で、コース、状況、好みに合わせて
いつでもどこでも簡単にセッティングが出来てしまいます。

ほんと文句のつけようもありません。


優れたフレーム、ホイールサスペンションがあっても地形や状況に合わせた
ライダーのボディアクションがあってこそ活きてきます。

大きく素早いアクションのために、サドルは腰の位置を移動させやすく、
後方もサイドも引っ掛かりずらく角ののない形状になっています。

パッディングもしっかりとあり、乗り心地もイイ感じ、バイクパンツのパッドがなくても
耐えられるくらいの感じです。

そのためこのサドル”ヘンジ”はハーフパンツを履いて乗るような方には
とてもオススメ出来ますね。



そしてコマンドポスト!
サドルの高さをレバーひとつで通常のペダリング重視の高さから、
一番低くまで下げるDHポジション、そしてアップダウン、ペダリング、
コントロールと中庸でトレイルで使いやすいハーフポジションまで
簡単に走りながら調整することが出来ます。

激しい降りでは腰が引っかからないようにDHポジションにして大きく重心移動しクリア、
コーナリングでも腰を沈めて低重心にできるのでグリップが増してギュンと曲れます。

腰、股関節、ヒザの動きに余裕ができるので速く大きく動けるとももに、
荒れた路面でもブレーキを掛けて足をつきやすいなど、その余裕と安心感から、
安全走行にもオススメのアイテムです。

300g程度重量が増しますが、得られる性能からはどなたにもオススメできる装備です。



駆動系は、レースバイクと同様の軽く強くのカーボンクランクとBBで申し分ありません。
というか、最高です。

ギア比はフロントダブル36/22、リアは11-36になっていて、あらゆる状況を
走りきれるように幅の広い設定になっています。
バイクでゆっくりトレイルを、となると軽いギア比は必須ですからこれはとても嬉しいですね。

テンショナーやガードもトラブルを減らす安心装備で、トレイルバイクには必須でしょうか。
チェーンの暴れの他にも、秋冬に多い枯れて落ちた枝などの巻き込みによりチェーンや
リアメカ、エンドを破損するリスクも減らしてくれることでしょう。



トレイルを、バイクコントロールを楽しむために
基本設計から細部まで徹底的に拘りぬいていますね。

高い剛性からくる安定感、しなやかなサスペンションの躍動感、
地面に合わせて、積極的に身体を動かす悦びがあるバイクです。


 一瞬のスピードを求めて、漕いで、曲がって、下って、はXCやDHレーサーのバイクに
求めてしかるべきですが、このSワークスでしたら、その軽さと扱いやすさから、
エンデューロレースで使っても速く走らせられるポテンシャルもあるといえるでしょう。



グラフィックも凝っていて、渋派手な外観もとてもイイ感じ。



山を楽しく安全に、体を動かしバイクをコントロールする醍醐味、
そんな魅力を体験するにはこのスタンプジャンパーFSRは最高の選択肢ですね!



2013年1月10日木曜日

ウインターウエア

寒い日がまだまだ続きます。
むしろ寒さはこれからが本番!

そんな中でも、シーズンインに向けてのトレーニングが
これからが山場を迎えていきます!

外で乗り込む時間が増えてくると思いますが、
そんな時に心強いのが高機能ウィンターウエアです。

春夏用のウエアよりも高い機能と快適性が求められます。


こちらは寒くても強度が高いライド、シクロクロスやヒルクライムでの軽くて
動きやすく、前面を中心に必要最小限の防風、防寒のウィンタージャージです。


待機している時はジャケットを、下りはさらにウインドブレーカーを着る、
またはベストなどで重ね着(レイヤー)するのに重宝します。

薄手でライディングフォームやアクションをするにも申し分なく、MTBライドにも向いています。



このように裏起毛と、防風素材を適所に配置してありまして、
秋から春先まで長く使える一枚でもあります。



重ね着は調整がしやすいのですが、
何枚も身につけると走り出しがめんどくさい、という方には
こちらの高級ジャケット、SL 12 WINTERJACKET



特徴としては、0℃でも温かい最高の防寒と防風性能を持ちながらも、
ライディングフォームがピタリと決まる、フィット感です!


防風と防寒のためには生地が厚くなりがちでゴワゴワしてしまい、
腹部、肩、腰、腕、という箇所がだぶつきがちなウィンターウエアですが、
SL12は綺麗なシルエットで着こなせます。


背中もピシっとしていて、とても良い感じ。

シンプルな見た目同様、重量も軽くとてもライディングしやすいです。


 

背部ポケットは厚手のウインターグローブでも
小物の出し入れが可能なように、大きく開口部を設けて特に右手での
出し入れがしやすいようなカッティングにもなっています。

スマホとか防水性の必要な物はジッパーのポケットにいれれば安心です。


背部には反射材も特別に設けてあり、日暮れの早い冬の安全にも
配慮しています。

前面と側面にも視認されやすいように、反射材を施してあります。


生地も適材適所に配すことで、フィット感とシルエットをキープしつつ、
動きやすさも同様に高く保たれているのが、もう一つの特徴です!

このSL12ジャケットは以前紹介しました SL12ウインタービブタイツ と合わせて着る、
同様のコンセプト、高級素材を手間ひまかけた製法で仕上げたウエアの高級ライン
なのです。



生地も起毛で暖かな素材でも、パネルごとに使い分けをして縫製も丁寧な仕上がりです。
素材で、裏側で勝負できるウインターウエアでもあります。

袖を通すと、滑らかな生地の風合いからも高級感が感じらます。
スーッと張り付くようなスムーズで高いフィット感をぜひお確かめ下さい。

ウエアメーカーの方が着ても、おっ!となることうけあいですよ。



袖を通すといえば、袖口もすっきりスマートな外見を保ちながら、
内側にはピッタリとフィットするリブにより、冷気をシャットアウトしてくれます。

細部までこだわりの詰まったウエアです。

バイク、シューズ、サドル、ヘルメット、とその高い機能が、そしてクールなルックスが
広く知られて定着してきましたが、ウエアもそれに負けないように進化し続けています!

SPECIALIZEDの今を、とても理解で出来るウインターウエアを是非お試しください。