2013年6月3日月曜日

SITERO PRO

新しいコンセプトのタイムトライアル、トライスロン専用サドル、SITERO/シテロ を乗り込んだので解説していきます。

SITERO PRO

いわゆる前乗りとなるエアロフォームでの、”SIT”着座快適性追求と、”AERO”空気抵抗低減を目的としたサドルであり、名前は、 SITERO=SIT+AERO から由来しています。


この独特なサドル形状は、DHバーをもって深く前傾したエアロフォームでの着座に最適化した結果なのです。

通常サドルの前部、ノーズの部分がカットされていると考えてみいいでしょう、概ね6cmくらい取り除かれている感覚です。

その分、深く伏せても通常のサドル前部の硬さと細さから受ける股下の圧迫がなくなります。

また後で述べるライディングシーンにおける様々な制約から開放される利点があります。






深く骨盤を倒した状態で着座してもシテロは、深い溝、適切な前部の幅、そして適度な厚さで腰のある固めのパッドにより、痛みを覚えないようになっています。

この溝、幅、パッドのバランスが秀逸で、痛みは起こさず、しかし、十分な密着と支えを提供してくれて、腰がとても安定します。
幅は太過ぎないので、内ももに干渉してペダリングしづらくなることもありません。
パッドも柔らか過ぎないので、高いペダリングパワーで漕いでもフワフワグニャグニャと返って不安定になることもありません。

表皮にパンチング加工してある部分が着座に適した範囲です。長い範囲の中で、個々人それぞれの骨盤の幅、角度、好みに合わせて、着座する箇所を任意に選ぶことが出来るのです。

自分が乗り込んだ感じだと、骨盤をやや起こした時には座骨結節後部が接するときは中間からやや後ろ側に着座し、骨盤を深く倒した時には座骨結節前部が接する時は中間よりも前に座るようにするとサドルと一体化したかのような、ピシっとした安定感が得られます。

この安定感がものすごく高く、通常のサドルに前乗りなった時のように股下の接地感が乏しく左右にグラグラしたり、細身で圧迫が集中して必要な荷重も出来ないことから生じる、不安定さを一切感じません。

骨盤を倒して、恥骨周辺が当たるような状況でも、下から確かに支えてくれる安定はあっても、ギューっと当て込まれる局所の痛み、しびれは皆無で、大パワーで長距離を連続して乗っても不快になることはありませんでした。

また、ベースバーを持って上体を起こして、骨盤が立った上体でも、座骨がガッチリと後部の広がった部分に十分に乗ることで、相当高い安定を得られます。

これは上りでのペダリングにかなりプラスになります。起きた姿勢でも腰が安定してパワーが高まる効果は、上りが多く含まれるであろう、IRONMAN北海道などのコースでかなり有効、生きてくるはずです。

”SIT”の効果は誰でも装着すれば、そのままその恩恵を得られることでしょう。



シテロの”AERO”はこだわりの設計に現れています。
ボトルケージを一本、一番空気抵抗の少ないサドル後部にビルトイン出来るようになっています。
SHIVならばハイドレーション内臓なので、エイドで受け取ったスペアボトルをハイドレーションに移し替えるまでここに装着するという意味あいなので、一本で十分なのです。
もちろん、従来型のアタッチメントをシートレールにつけたい人向けには、ステーを取り除き後部が露出するカバーも付いて対応しています。

一体型は見た目がとてもスマートに決まりますが、別体金属ステーなどを使用しないので、とても軽く仕上がります。
カーボンレールのSITERO PRO ですとステー、ケージ込で約250gと、この手の専用サドルにケージアタッチメントを付けることを考えると、ものすごい超軽量になります。



実際にバイクに装着するとこのような感じに、近未来的なフォルムになります。

TTバイクでの使用の場合、BBよりも5cm後退というUCIルールに則っても、より適切なサドルポジションにセットしやすいといえるでしょう。
自分がローミンでセットした場合はBB中心よりも2cmも先端が前に出ていましたが、この状態だとBB中心よりも4cm後退しています。あと1cm引けば良いので、なんとか適切に座れる範囲を保てることでしょう。

トライアスロンだけでなく、後部ボトルケージを取り除けばTTレースにもオススメです。



ライディングにおいては、上面のフラットでなめらかな形状が、スムーズな姿勢の変化を促してくれます。
柔軟性の範囲で痛みなく、楽に深い姿勢を実現してくれますので、結果的にエアロフォームをより最適化してくれて、結果的に一番空気抵抗を生み出すライダーの高さを抑えて前面投影面積を小さくしてくれるのです。

また、この形状によりあらゆる人が自分に適した着座位置を見つけやすいという特徴もありますので、男性も女性も、柔軟性の高い低いも、座骨幅にもとらわれることなく、装着することが出来ますので、トライアスリートならば誰にでもオススメできるサドルなのです。


なめらかな形状は、シッティングでの腰の位置をいろいろと変えられ、後部のボトルも邪魔にならない位置になっていることから、下りやブレーキングで腰を引いたり、コーナリングで荷重を内外に移し変える時も広い範囲で行うことができます。

またノーズがないことから、ダンシングの時に干渉することもなく、最適なペダル荷重位置でダンシングができます。これはしっかりペダルに乗れる上級者には大歓迎されることうけあいです。

より安心してあらゆるバイクコントロールをすることが出来ますので、前乗り専用バイクが心配な方には特に強くオススメします。




この状態でIRONMANケアンズに向け慣熟走行を繰り返しました。

サドルからの痛みで骨盤を倒すほどに前傾できない、ということがないでいくらでも前に伏せて姿勢を低くしてエアロ効果を得ることが出来ます。

しかし、姿勢を深くするとペダリング上死点の適切な可動範囲を越えてしまい、スムーズな通過ができずケイデンスが上がらない、踏む荷重が遅れる、結果的にパワーが高まらない、という症状が出てしまいました。

そこで、ペダリングを最優先させながら、腰と背中の緊張を減らし負担を減らしつつ穏やかに前傾を増す程度に止め、ペダルによりしっかりと力を掛けられるように修正をしていき、その両立、バランスがとれた状態に決定しました。






こちらが一番低い姿勢(右)と、バランスをとった姿勢(左)との比較です。
やや頭が上がったものの、ペダリングのスムーズさ、上体の安定が全く違うことが見て取れます。

誰にでも、高い安定性と快適性を提供、そしてエアロ効果改善の機会を与えてくれるシテロは、掛け値なく全てのアスリートにおすすめです!

ただし、自分のトライアンドエラーのように、しっかりと自分自身のペダリングを優先した、股関節可動域に合わせたフィッティングで最高のエアロフォームで乗ってくださいね!